従業員や、家族を診療した場合の税務上の注意点について解説【医業税務①】

税務・会計

皆さんこんにちは、鹿児島の税理士の引地です。

医業税務シリーズということで、これからちょくちょくまとめていきたいと思います。(自分の勉強も兼ねて)

今回、医業でありがちな、「従業員や、家族を診療した場合の税務上の注意点」について解説していきたいと思います。

窓口負担金を減免している場合

医業あるあるですが、窓口負担分を免除している場合があります。

医師国保、歯科医師国保ともに、自家消費による保険請求は認められていないようです。ただし、それ以外の社会保険については、保険請求を認められている場合もあるようです。(この点は詳しくなく、詳細はご確認ください)

いずれにせよ、減免している場合には、従業員、家族、取引先に対して利益を与えていることになるため、税務上、下段の処理が必要になります。

従業員 ⇒ 減免している金額を 「福利厚生費」 or 「給与」 で処理し、貸方に「売上」を計上する

従業員に対して、自家診療を行う場合には、「福利厚生費」、又は「給与」としての処理が必要になります。

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借方 福利厚生費✖✖✖ / 貸方 売上✖✖✖

or

借方 給与✖✖✖ / 貸方 売上✖✖✖

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「福利厚生費」とは、全従業員一律に対して支払った費用であり、一部の従業員に対して優遇して行っていたり、常識を超えた診療を行っている場合には「給与」という扱いになります。

給与の場合には、源泉徴収の問題などややこしいことが生じますので、なるべく福利厚生費になるような形が望ましいと思います。(常識的なケースですと、福利厚生費に該当するもので良いと思いますが)

一律の基準を書面として設ける、あるいは事実ベースででも全従業員が自家診療を受けている、月末や、決算時にでも「福利厚生費」として処理して、福利厚生費であることを示す、といった措置を講じることが、福利厚生費であることを示すために必要になると思います。

家族 ⇒ 減免している金額を 個人事業主の場合は「事業主貸」、 法人の場合は「代表者貸付金(又は役員報酬)」 で処理し、貸方に「売上」を計上する

家族に対する自家診療は経費になりませんので、個人医院の場合には、プライベート勘定である「事業主貸」を用います。医療法人の場合には、プライベート勘定である代表者貸付金で処理するか、役員報酬とも考えられますが、臨時的な役員報酬は経費にならず源泉徴収義務もあるため、通常は代表者貸付金処理が良いと思います。

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個人医院↓

借方 事業主貸✖✖✖ / 貸方 売上✖✖✖

医療法人↓

借方 代表者貸付金✖✖✖ / 貸方 売上✖✖✖

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取引先 ⇒ 減免している金額を「交際費」で処理し、貸方に「売上」を計上する

事業に関係している取引先に対してサービスを行った場合には、「交際費」という扱いになりますので、下段の仕訳となります。

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借方 交際費✖✖✖ / 貸方 売上✖✖✖

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余談

引地税理士
引地税理士

いかがでしたでしょうか?

経費と、売上が両建てしている場合は、実質利益0円なので、税務上はそこまで問題は生じませんが、家族に対して自家診療している場合には、完全に売上計上漏れになりますので、気を付けるようにしましょう。

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