税金の時効は何年なのか?【消滅時効と除斥期間の違い、税務調査との関係】

税務・会計

皆さんこんにちは、鹿児島の税理士の引地です。

今回は税金の時効について解説していきたいと思います。

…が、その前に、消滅時効と除斥期間との違いについても解説していきます。

ある期間を過ぎたら権利が消失することを、一般的には「時効」とイメージすると思いますが、「時効」にも二種類あり、権利が消滅する時効を「消滅時効」と言います。また「消滅時効」と混合しやすいのですが、同じような効果をもたらす「除斥期間」なるものがあります。

国の租税債権にも、消滅時効の適用があるもの、除斥期間の適用があるものに分かれていますので、税金の時効を理解するために、この二つの違いもしっかりと押さえられるようにしましょう!

消滅時効と除斥期間の違いとは?

消滅時効の定義↓↓

消滅時効(しょうめつじこう)とは、一定期間行使されない権利を消滅させる制度。取得時効とともに時効の一つである。

Wikipediaを参照

除斥期間の定義↓↓

除斥期間(じょせきかん)とは、法律関係を速やかに確定させるため、一定期間の経過によって権利を消滅させる制度。

Wikipediaを参照

…ということで、効果としては似ているのですが、両者には違いがあります。

除斥期間の特徴として、

①中断(完成猶予・更新)がない

②権利の存続期間があらかじめ予定されていて、その期間の経過によって権利が絶対的に消滅し、当事者の援用を要しない。なお、除斥期間による権利の消滅は、遡及効がなく、将来に向かって消滅する

という特徴があり、そこが時効との違いになります。

つまるところ、簡単に言うと、皆さんがイメージするところの時効は、途中で未回収債権を通知することによって時効の計算が振り出しに戻る、というイメージがあると思いますが、除斥期間にはそれがありません。期間が過ぎれば権利が自動的に消滅してしまうのです。

徴収権、賦課権は、消滅時効or除斥期間?

先程まで、消滅時効と除斥期間の違いを説明していたのは、徴収権と賦課権とでは、消滅時効と除斥期間の違いがあるからです。

徴収権とは、すでに確定した税金について徴収する権利です。

賦課権とは、賦課することによって新たに税金を確定することができる権利です。

徴収権は、消滅時効の適用があります。賦課権は、除斥期間の適用があります。

つまり、簡単に言うと、いったん申告することによって確定した税金を徴収する権利として徴収権があり、税務署は適時納税者に連絡を取ることによって、時効がたびたび中断されるので、いったん確定した税金の時効が完成することは基本無いです。

税務調査によって新たに、税金を賦課する権利として賦課権がありますが、中断がないため、ある一定の期間を過ぎれば、税務調査によって確定されなかった税金については、納めなくていいことになります。

徴収権は5年、賦課権は原則5年が期限となっています。

税務調査との関係

税務調査によって確定するのが、賦課権ですから、賦課権の除斥期間を知ることによって、税務調査の対象期間についても納得が出来るようになります。

3年の除斥期間

課税標準申告書の提出を要する国税で当該申告書の提出があったものに係る賦課決定(納付すべき税額を減少させるものを除く。)の除斥期間は3年になります。(通70①)

つまり、通常の税務調査が過去3年分と言われるのは、この規定が根拠になっています。

5年の除斥期間

更正、決定及び賦課決定(3年の除斥期間を除く。)の除斥期間については、原則5年になります(通70①)

つまり、これまで無申告だった方が、税務調査を受ける場合、過去5年分の調査を受けるのは、この規定が根拠になっているからです。また、普通に毎年申告している方でも、4年前、5年前に、賦課決定できる事実が見つかりそうな場合は、調査期間を3年ではなく5年に延長してください、と税務調査官に言われるのは、この規定が根拠になっているからです。

7年の除斥期間

偽りその他不正の行為により、税額の全部若しくは一部を免れ若しくは還付を受けた国税についての更正決定等又は偽りその他不正の行為により、その課税期間において生じた純損失等の金額が過大である納税申告書を提出していた場合における当該純損失等の金額についての更正(次の10年の除斥期間の適用を受けるものを除く。)の除斥期間は、7年である(通70④)

故意的に不正をした場合には、7年にさかのぼられる可能性があります。

10年の除斥期間

法人税に係る純損失等の金額で当該課税期間において生じたものを増加させ、若しくは、減少させる更正又は当該金額があるものとする更正の除斥期間は10年になります。(通70②)

簡単に言うと、法人税の赤字の繰越は10年間繰り越せますので、場合によっては10年前の赤字は繰り越せませんよ、とかいう話が出てくることもある、ってことです。

余談

引地税理士
引地税理士

いかがでしたでしょうか?

つまり、不正をしていないのであれば、

5年以上前の潜在的な追徴税額については、もう問われることはない、ということです。

いつまでも、思い悩むことが無いようにするための、時効、除斥期間ですから、

前を向いて、進んでいきましょう!

…払うべきものは払わないといけませんが(笑)

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