棚卸の計算の仕方について解説

税務・会計

皆さんこんにちは、鹿児島の税理士の引地です。

今回は棚卸の計算の仕方について解説したいと思います。

会計事務所の方から、

引地税理士
引地税理士

決算期末に棚卸をしといてくださいね~

と言われたことがあるかもしれませんが、

社長
社長

(棚卸ってどうやるんだろう…)

って思ったことはありませんが?

会計事務所側も説明不足だと思いますので、棚卸の仕方について解説し、そしてまた棚卸についてよくある質問について解説していきたいと思います。

棚卸の計算の仕方

棚卸資産には、原材料、仕掛品、製品、半製品、商品などが挙げられます。

棚卸の計算をする際は、これらは原価で計算することに注意してください。

そもそも棚卸をする目的は、売上原価を算定することが目的でありますので、売上「原価」ですから、棚卸で用いる数値も「原価」になります。

よく売価で計算している人を見かけますのでその点注意してください。

そして棚卸資産の原価(取得価額)の算出方法としては、個別法、先入先出法、総平均法、移動平均法、最終仕入原価法、売価還元法という評価方法があり、棚卸資産の種類別に選択することができます。

評価方法を選定しようとするときは税務署に届出が必要です⇒https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kobetsu/hojin/010705/pdf/073-1.pdf

届出がない場合には最終仕入原価法という評価方法になります。

ほとんどの会社は棚卸の届出をしていないと思いますので、最終仕入原価法で計算していることが多いです。

最終仕入原価法とは、決算期付近で仕入れた材料、商品単価を元に期末在庫を評価する仕方となります。

原材料、商品については最終仕入原価法で計算できますが、仕掛品、半製品、製品については本来的には最終仕入原価法で計算することができません。(仕入れた商品に加工を加えているので)

仕掛品、製品、半製品については売価還元法により評価することがベストでしょう。

売価還元法とは、原価で計算しずらいものについて、売価の棚卸資産について原価率を掛けて計算する方法です。仕掛品、半製品は製造過程の棚卸資産であるため、売価×原価率×製造過程経過率(何%)として評価すればよいと思います。

分かりにくいと思いますので、棚卸資産別に評価の仕方を具体例を用いながら解説したいと思います。

商品、原材料

商品、原材料については、最終仕入原価法が評価の仕方としては簡便ですし、それで問題ないでしょう。

例えば、決算期末に仕入れた仕入単価が100円である商品を決算期末に50個持っていたとすれば、

期末の棚卸資産の評価額は、100円×50個=5,000円という計算になります。

最終仕入原価法は、あくまで最後に仕入れた商品の仕入単価を元に計算するため、期中でいくらで買ったかの情報が必要ありません。

割と簡便な計算だと思っていただけたと思います。

製品、半製品、仕掛品

製品、半製品、仕掛品については売価還元法で計算することがベストでしょう。

たとえば、売価1000円の商品があり、原価率が70%で、製品は100%製造終了、半製品は80%製造終了、仕掛品は50%製造終了だとしたら、

製品⇒1000×70%×100%=700円

半製品⇒1000×70%×80%=560円

仕掛品⇒1000×70%×50%=350円

という風に計算することができます。

よくある質問

棚卸資産の計算についてよくある質問に解説していきます。

売価還元法の届出を出していないんですが・・・

前述したように、製造業などは加工途中の仕掛品等が生じますので、売価還元法などを用いて算出するわけですが、届出をしていないケースも多いかと思います。

これまでのわたしの経験で、棚卸資産の届出をしていないで売価還元法を選定していたとしても、その評価方法を否認されたことはありませんが、重要なことはそのご自身のやり方を一貫して継続するということです。

評価方法がころころ変わると、税務署から見たら利益調整をしているのかと疑われます。その点注意してくださいね。

消耗品についても棚卸しないといけませんか?

パンフレットや包装材料、ボールペンなど使っていない消耗品についても棚卸をする必要があるのでしょうか?

回答としましては、継続して消耗品費などと継続して経費計上している場合には、資産計上(貯蔵品)をする必要はありません。

余談

引地税理士
引地税理士

いかがでしたでしょうか?

「棚卸をしてください」といきなり言われても

どうやっていいのか見当がつかないですよね。

今回の記事を参考にしていただいて棚卸の計算をしていただければと思います。

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