【民法】民法上の請負契約について説明します!【建設業】

労務・法務

建設業としていざ独立!となっておきたいのが、法律上の請負の知識。

業界の慣習で決まっているところもあると思いますが、いったん法律の知識も仕込んでおきましょう。法律を知っておくだけで業界の慣習の意味も分かってきます。

今回は、「ビジネス法務実務検定」の学習図書を引用しつつ、私が調べた内容も加えて分かりやすく解説していきます!

「請負」とは

請負とは、請負人がある仕事を完成させることを約束し、注文者がその仕事の成果に対して報酬を与えることを約束する契約をいいます。

まんま、ハウスメーカーがイメージできますね。お客様から、新築住宅の注文を受けて、それをいついつごろまでに完成させることを契約書上で交わすことを請負契約といいます。

ただ、この請負契約、

民法上は契約書の作成を必須ではなく、当事者間の意思表示の合致があれば請負契約が成立しますが、建設業法上は、必ず書面で交わさないといけないことになっています。

500万円未満の建設工事については、建設業の許可は必要はないですが、建設業を行う場合には建設業法が適用されますので、500万円未満の工事についても書面の交付義務があることに注意しましょう。

で、その契約書に記載すべき事項については、十四の重要事項を契約書に記載しなければならないと建設業法に規定しています。

1、工事内容

2、請負代金の額

3、工事着手の時期及び工事完成の時期

4、工事を施工しない日又は時間帯の定めをするときは、その内容

5、請負代金の全部又は一部の前金払又は出来形部分に対する支払の定めをするときは、その支払の時期及び方法

6、当事者の一方から設計変更又は工事着手の延期若しくは工事の全部若しくは一部の中止の申出があつた場合における工期の変更、請負代金の額の変更又は損害の負担及びそれらの額の算定方法に関する定め

7、天災その他不可抗力による工期の変更又は損害の負担及びその額の算定方法に関する定め

8、価格等(物価統制令(昭和21年勅令第118号)第2条に規定する価格等をいう。)の変動若しくは変更に基づく請負代金の額又は工事内容の変更

9、工事の施工により第三者が損害を受けた場合における賠償金の負担に関する定め

10、注文者が工事に使用する資材を提供し、又は建設機械その他の機械を貸与するときは、その内容及び方法に関する定め

11、注文者が工事の全部又は一部の完成を確認するための検査の時期及び方法並びに引渡しの時期

12、工事完成後における請負代金の支払の時期及び方法

13、工事の目的物が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合におけるその不適合を担保すべき責任又は当該責任の履行に関して講ずべき保証保険契約の締結その他の措置に関する定めをするときは、その内容

14、各当事者の履行の遅滞その他債務の不履行の場合における遅延利息、違約金その他の損害金

15、契約に関する紛争の解決方法

16、その他国土交通省令で定める事項


書面による契約は、「元請負・下請負の別」及び「請負金額の大小」に係わらず、
全ての建設工事請負契約について義務づけられています。

国土交通省資料より

そして、いつ代金を請求できるのかというと、

報酬の支払時期については、特約がなければ、民法上、注文者は目的物の引渡しを要する場合には引渡しの時に、目的物の引き渡しが不要な場合には。仕事完成の時に報酬を支払わなければならないこととなっています。

なので、前金や中間金をもらうような工事をするときは、契約書に前金いくら、中間金いくらと記載するように記載することで特約の扱いになります。

一括下請けの禁止

民法上は、請け負った仕事の全部を他人に請け負わせること(下請け)は禁止されていません。

しかし、建設業法では、原則といて自分が請け負った仕事を一括して他人に請け負わせる一括下請けは禁止されています。

これは昔の耐震偽装問題の流れで、大手建設業者が元請けであるにもかかわらず、仕事の全部を下請けしていたため責任の所在があいまいになってしまった、という反省から禁止になったようです。

また、余談ですが、民法上下請けについて、工事の発注をした人に下請けをしていいか承諾を得る必要はないということも覚えておきましょう。発注者の承諾を得る旨の規定がありませんので。

トラブルを未然に防ぐためには法律を武器に!

顧問先の話を聞いていても、発注所を交わしていないとかで、あとになって金額の改定があったりと、建設業の人はいろいろ大変そうだな~と思うところが良くありました。

トラブルを防ぐためにも法律を勉強しておくことで、相手との交渉に使えますから学習していきましょうね!

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