相続で事業承継した場合の、消費税の納税義務の注意点について解説

税務・会計

今回はちょっとマニアックな話。なるべく面白くお話します。

おなじ資格予備校に通っていて、同時期に税理士試験合格された方がおり、たまにご飯に連れて行ってもらっている関係(先輩)なのですが、その方から一本のTELが…。

話の概要としては、個人事業をされている方で、その方がお亡くなりになって、相続人の方が事業承継する予定(承継者が決まっていない)ということで、この場合、相続人の消費税の納税義務はどうなるのか?という内容でした。

推測編

前提の知識として、亡くなった方の前々年の売上高が1000万円を超えていて消費税の納税義務者だった場合、その事業を承継した相続人も消費税の納税義務者になります。だから仮に亡くなった方の前々年の売上が1200万円だったのであれば、事業を承継した相続人も、1200万円の規模の事業を引き継いだということで消費税の納税義務者として取り扱います。

なので、私の回答としては、事業を承継した人が決まったら、その人が消費税の納税義務者になるんじゃないですか?と回答しました。

先輩が努めている、税理士法人の国税OBの先生も私と同じような回答だったようです。

しかし、先輩が調べたところによると「事業を承継するしないにかかわらず、亡くなった方の売上を相続分で按分して消費税の判定をする」のではないかと、国税庁の類似の照会事例から引っ張ってこられました。

そうなった場合、仮に亡くなった方の前々年の売上が1200万だったとすると、先ほどの前提知識で紹介したところだと、承継した人が1200万円を元に計算するので消費税の納税義務者になるのですが、

先輩の場合、だれが承継しようと相続分で按分する(相続人が3人いたとして、仮に1/3であるものとします)ので1200万円×1/3なので、400万なので、消費税の免税事業者になるため納税義務が生じません。

消費税の納税義務があるのと、ないのとではえらい大きな違いです。

でも、普通に考えれば事業を承継した人ベースで考えるべきなんじゃないの?だってその人が1000万円を超える規模のある事業を引き継いだんだから、、と思ったのですが。

解決編

そのあと、いろいろ調べていくと、先輩が言った「誰が承継するしないにかかわらず相続分で按分する」という方法が正しいようでした。

おそらく、このような適用になる趣旨を見る限り、「事前に消費税の納税義務があるかないかが納税者がわかる必要があるため、だれが相続したかにかかわらず相続分で分けるのが合理的」とのこと。

事業を承継した人ベースで考えてしまうと、承継するまでは免税なのに、承継したから遡って課税にします、ということをするのはあまりよくないだろう、ということのようです。

なんとなく分かった、分からんような。。今期中に承継するのが決まってるんだったら、承継した人ベースで判定した方が合理的なんじゃないの?とも思いましたが、いちいち例外を作るのもあまり好ましくないのかもしれません。

それより先輩、未経験で入社したのに、難しい案件なのによく調べたな~と、感心したある日の夕方でした。。

国税庁照会事例はこちら

東京国税局「前年に相続があった場合の共同相続人の消費税の納税義務の判定について」⇒https://www.nta.go.jp/about/organization/tokyo/bunshokaito/shohi/120918/01.htm
大阪国税局「相続があった年に遺産分割協議が行われた場合における共同相続人の消費税の納税義務の判定について」⇒https://www.nta.go.jp/about/organization/osaka/bunshokaito/hojin/150408/01.htm

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