みなし譲渡・低額譲渡の税務を分かりやすく解説【所得税・消費税】

税務・会計

今回はマニアックな税金の話です。でも知っておかないと税理士的に危ないので、自分の頭の整理も兼ねてご紹介します。

今回の話は、個人事業主が自分のところの商品を自分で使ったり、法人が商品を贈与したり、時価よりも著しく低い価格で譲渡した場合などに出てくる論点です。

割とあり得る論点なので、この機会に抑えてくださいね!

家事消費

家事消費は、個人事業主の論点です。自分のところの商品などを自分で使ったりすることを家事消費といいます。

★家事消費の注意する論点★

所得税 ⇒ 取得価額 ≶ 通常の販売価額×70% ∴大きい方の金額を総収入金額(つまり収入)に算入する。

消費税 ⇒ 棚卸資産 → 仕入金額 ≶ 売買時価×50% ∴いずれか多い金額を売上と認識する。
      棚卸資産以外 → 時価

・・・つまり、所得税で売上として認識する金額と、消費税で売上として認識する金額が異なっていますので、仕訳で注意が必要です。

贈与

贈与とは、棚卸資産や資産(土地、建物)を無償であげることです。

★贈与の注意する論点★

所得税 ⇒ 棚卸資産 → 取得価額 ≶ 通常の販売価額×70% ∴大きい方の金額を総収入金額(つまり収入)に算入する。
      棚卸資産以外 → 法人に対する移転・・・時価
             → 個人に対する移転・・・処理なし

消費税(その法人の役員に対するものだけが対象)
    ⇒ 棚卸資産 → 仕入金額 ≶ 売買時価×50% ∴いずれか多い金額を売上と認識する。
      棚卸資産以外 → 時価で収入を認識

贈与の消費税に関する論点については、その法人の役員に対する贈与だけ対象となっていて、それ以外は家事消費と同じです。

低額譲渡

自分のところの商品や資産などを著しく低い価格で売ることです。

★低額譲渡の注意する論点

所得税 ⇒ 棚卸資産(売買時価の70%未満の対価しかもらってない場合が対象)
       → 売買時価×70%-譲渡対価 を総収入金額に算入する。
      棚卸資産以外
       → 法人に対する移転(売買時価の50%未満の対価しかもらっていない場合が対象)・・・時価
       → 個人に対する移転・・・処理なし

消費税(その法人の役員に対するものだけが対象)
    ⇒ 棚卸資産 → 仕入金額以上 かつ 売買時価×50%以上 で譲渡している場合には、実際の対価で売上を認識するが、このいずれの要件も満たさない場合には、売買時価で売上を認識する
    ⇒ 棚卸資産以外 → 時価×50%以上・・・実際の対価で売上を認識
             → 時価×50%未満・・・売買時価で売上を認識

ややこしすぎませんか?

とりあえず実際に関係のありそうなところだけをピックアップしましたが、ややこしすぎませんか?(笑)

ちなみに、棚卸資産以外の資産を時価で認識することを「みなし譲渡」といってたりします。

皆さんのお役に立てば幸いです!

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