以前、顧問先の方からお電話がありまして、
車買おうと思ってるんだけど、分割払いで買うか、リースで買うか
迷ってんだよね~
というご相談がありました。確かにリース契約と分割払いとでどう違うのか気になるところですよね。
今回は、リース契約と分割払いについての制度上の違いから、税金の計算上の違いまで解説したいと思います!
特に今回の例では、消費税が数十万円変わる結果になりましたので、検討もヒヤヒヤでした…
制度上の違い
リース取引
一般的なリース契約は、ファイナンスリース取引だと思いますので、ファイナンスリース取引について説明しますと、
ファイナンスリース取引の間に噛んでいるのは、リース会社とサプライヤーとユーザーです。
リース会社は、一般に金融機関が該当します。サプライヤーは例えば、車屋さんとかですかね。ユーザーは本人です。
リース契約においては、サプライヤーからリース会社が物件を購入しますので、所有権はリース会社にあります。
で、ユーザーは代金をリース会社に対して払うので、ユーザーにおいてはリース会社から物品を借りている状態になります。
分割払い
こちらは単純に割賦契約(分割払い)で購入する契約となります。ですので、所有権はもちろんユーザーに帰属します。
なお、ここで注意すべきは残価設定クレジットで購入したときです。
今回、ご質問いただいた方についても残価設定クレジットで組もうか検討されていました。
ディーラーからも説明を受けたようですが、残価設定クレジットの場合は所有権は、自動車販売会社または信販会社にあるという点です。
残価設定クレジットは、毎月は1万円とか支払って5年後とかにドカッと支払金額が来るような契約です。5年後にその金額で一括で支払う場合には、所有権はユーザーに帰属し、払わない場合は、自動車販売会社に返すような形になります。
リース契約と似ていて、所有権は相手側にあるのですが、仕訳上は分割払いと同じように購入時に資産と計上しますので注意してください。
仕訳上の違い
リース契約
基本的には、毎月リース料として経費として計上する処理が認められています。ですので、
購入時:
仕訳なし
リース料支払い時:
リース料 / 普通預金
という仕訳を切ることが大多数ですし、そのようにすること推奨されています。ですが、原則の処理としては下記のように、購入時に資産計上します。
購入時:
車両運搬具 / リース債務
リース料支払い時:
リース債務 / 普通預金
分割払い
購入時:
車両運搬具 / 長期未払金
ローン支払い時
長期未払金 / 普通預金
税金計算上の違い(消費税)
消費税は、商品の引き渡しを受けた時に、あるいはサービスを受けた時に、消費税を支払ったように処理をすることが原則です。
ですので、リース契約の場合は、通常リース料として毎期経費処理していくので、毎期分割して消費税を支払っていく形になります。それに比べて、分轄払いの時は物品の引き渡しの時に消費税もまとめて支払ったものとして処理しますので、リースと分割払いでは消費税の形状のタイミングが異なります。(ただし、原則の処理の場合には、物品の引き渡し時に消費税をまとめて支払ったように処理するので、リースと分割払いで計上タイミングは変わりません。)
支払総額の違い
リース契約と分割払いとで、支払総額的にどちらが得なのかというと、一般的には分割払いの方が低く抑えられるようです。
今回のご相談において
今回顧問先から、ご質問をいただいた方の場合だと、購入年は消費税の課税事業者で、翌年以降は消費税の免税事業者の方でした。
ですので、リース料処理をしてしまうと、翌期以降リース料の消費税控除が受けられなくなるので、資産計上の場合と比べてトータルの納税額が何十万円も変わってしまう結果となりました。
会計事務所側では、リース料処理するのが当たり前みたいなところがありますので、消費税の控除を先に受けたい場合には、会計事務所側に相談することをお勧めします。
リース契約であろうと、分割払いであろうと、資産計上は可能ですが、あやうくリース料処理にしてしまうところで、危ないところでした…
コメント