皆さんこんにちは、鹿児島の税理士の引地です。
今回は、外国に住むことによって日本の所得税が節税になる?というテーマで記事を書いていきたいと思います。
今回記事を書くにあたって実例がありまして、私自身が処理した案件ではなかったのですが、面白い内容だと思いましたので取り上げてみたいと思います。
これまで経験のないことだったので話半分に聞いていただければと思いますが、適用が可能な場合にはかなりの節税効果があるかと思います。
それでは内容の方を見ていきましょう!
今回あった実例
ぼかして書きますが、日本で著作料を得ていた顧問先が、海外に引っ越すとなったため、今後所得税の申告は必要なのか?というご相談でした。
日本で所得があがってるんだから、日本の所得税の申告が必要なのかなー?
と思いますよね。。それでは取扱いの解説をしていきたいと思います。
非居住者等に対する課税制度
「非居住者に対する課税制度」と見出しにしましたが、まず「非居住者」という言葉の定義ですが、
非居住者とは、国内に住所または現在まで引き続き1年以上の居所を持たない者をいいます。
ここで「居所」というのは、生活の本拠ではないが現実に居住している場所をいいます。例えば単身赴任先を想定していただければ大丈夫です。
今回の実例に当てはめて考えると、完全に外国に引っ越すため、非居住者に該当することになります。
こういった非居住者に対しては、国内源泉所得課税といって、国内において生じた所得についてのみ課税することになっています。
つまり今回の実例ですと、日本国内において著作料という所得が生じていることから日本の所得税が課税されることとなります。
まぁ考えてみれば当たり前ですよね。日本で所得が発生してるんだから日本の所得税を課税するのは納得です。
で、ここからが重要なポイントなのですが、
国内業務のために非居住者等に対して著作権の使用料を払う時は、20.42%の源泉分離課税となっています。
この源泉分離課税制度ですが、源泉徴収した金額で課税が完結するため、申告が不要になるという制度になります。
そもそもの趣旨としては、外国に出ていった場合は、税金の徴収が難しくなってしまうため、報酬の支払いの際に一部を天引きしてください、というものになります。
出国したら節税になる?
今回の著作料を貰っている方は、日本での所得税負担がかなり大きい方で、外国に移住することによって、20%の税負担で今後済むとなるとかなりの節税です。
本来的には、その出国先において、税金しっかり納めるから日本では、その程度でいいよ~、というものなのですが、一部の国においては国外において生じた所得については課税しない国もあります。(Income Exemptionと呼ぶようです)
つまり今回の実例ですと著作料が20.42%の課税で済む、ということでかなりの節税になりそうでした。
出国先の税制も確認しないといけないので、その道の専門家に相談した方がよさそうですが、該当できそうな方は一度検討されてみてはいかがでしょうか?(笑)
余談
国際税務の一端を勉強した気になりました。。
国によっては、そもそも国外で生じた所得については課税しない国。
あるいは、国外で生じた所得についても国内の所得と合算して課税するが、
国外で払った所得税を控除することによって二重で課税することを防ぐ国。
国際税務は奥が深いですね~。
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