皆さんこんにちは、鹿児島の税理士の引地です。
今回は、「簿記って何ですか?」というよくある疑問について解説します。
「簿記をすることで何が分かるの?」
「仕訳って何?」
経理初心者はそういった疑問があるかと思いますので、会計をするにあたってよくある疑問について解説していきます。
今回の参考文献として、「80分でマスター! ガチ速簿記入門」(著者:金川顕教)を参考にさせていただきました。分かりやすくてとても参考になりました。
簿記ってなに?
簿記は「お金やモノの出入りを記録するための方法」のことを言います。「帳簿に記入する」から「簿記です」
では何のために記録をするのかというと、
それは「決算書を作るため」に記録をしているのです。
つまり、目指すべきゴールが「決算書の作成」のためであって、それを作成する手法として「簿記」という手段が取られているということです。
決算書とは、2種類あって、「貸借対照表」、「損益計算書」を指します。
貸借対照表を見ることによって、会社の財産はいくらあるのか?会社の借金はいくらあるのか?といった会社の財政状態が分かります。
損益計算書を見ることによって、売上はいくらなのか?経費はいくらなのか?いくら儲かっているのか?といった会社の経営成績が分かります。
この貸借対照表と損益計算書の両面で見ることによって、本当にこの会社が儲かっているのか?が分かります。
例えば、いくら利益が出ていると言っても、資金が数万円しかなく、直近の支払いが数百万あるといった場合、その会社は本当に儲かっていると言えるのでしょうか?
例えば、同じ利益が出ているA社とB社があって、A社は借入金が0円でB社は借入金が1億円だったとしたらどっちが儲かっていると言えるのでしょうか?
…このように、貸借対照表と損益計算書の両面から見ることによって会社の経営状態が分かります。その資料を作るための技術として簿記がある、というわけです。
ちなみに、簿記といっても、単式簿記と複式簿記といった種類があり、単式簿記の場合には、貸借対照表が作成できません。複式簿記の場合には、貸借対照表も損益計算書も作成することができます。
ですので、より会社の状態をよく知りたい場合には複式簿記で記帳する必要があります。
どのタイミングで記帳するの?
会社の取引を記帳するといってもどのタイミングで記帳するのか悩むところですよね。
簿記は「実際にお金やモノ動いたタイミング」で取引があったものとして記帳していきます。
ですから、モノを売った、お金を貸した、モノを捨てた…などのタイミングで記帳することになります。
単式簿記と複式簿記の違い
お金やモノが増えたり減ったりしたとき、そこには「原因」と「結果」があります。
例えば、商品を売ったとしましょう。この場合、商品を売ったという「原因」と、商品を売ってお金を手に入れたという「結果」があります。
つまり、会社が行う取引には「原因」と「結果」という2つの面が有るということです。これを「取引の二面性」と呼んでいます。
複式簿記の場合には、この「原因」と「結果」を「仕訳」というルールを元に記帳していきます。
単式簿記の場合には、「結果」しか記帳していきません。
例を挙げると、モノを売って100円手に入れた時、
複式簿記の場合には、「モノを売った」という原因と、「100円を手に入れた」という結果を記録しますが、単式簿記の場合には「100円を手に入れた」ということしか記録しません。
このレベルの取引くらいでしたら、単式簿記でも複式簿記でも違いはないですが、より複雑な取引状況になってくると、単式簿記では限界があります。
単式簿記はお小遣い帳、と表現されることがありますが、お小遣い帳で取引全体を記録することは限界があるでしょ?ということです。
仕訳って何?
では、さきほど複式簿記の時は仕訳というルールをもとに記帳すると言いましたが、そもそも仕訳ってどういう意味なのでしょうか?
引用しますと↓
仕訳とは、複式簿記上の取引が発生したら、取引に名前をつけてグループごとに分類して、金額とともに帳簿に記帳することです。
80分でマスター! ガチ速簿記入門 p34
取引に名前を付けるというのは、いわゆる勘定科目に分類する、ということです。「接待交際費」とか「旅費交通費」とかのことです。
そういった勘定科目は、枝葉の部分なのですが、大本にはグループがあって、そのグループは「資産」「負債」「資本」「収益」「費用」というグループ分けになっています。接待交際費は「費用」グループの勘定科目になります。
こういった、グループと勘定科目をみんなで共有することによって、だれが財務諸表を読んでも、同じように理解が出来るようになります。
試算表って何?
銀行から融資を受けたことのある方でしたら「試算表」という言葉を聞いたことがあるかもしれません。
試算表というのは簡単に言ったら、途中経過時点の貸借対照表と損益計算書、と思っていただければいいです。
本来、貸借対照表、損益計算書というのは1年間の経営状態を表わす資料になりますが、途中経過時点の経営状態も気になりますよね。
そういった時点で、作成するのが「試算表」というものです。試算表にも、「合計試算表」「残高試算表」「合計残高試算表」がありますが、
期中の経営状態を見るときに使うのは「残高試算表」になりますので、試算表と言ったら「残高試算表」と思っていただければいいです。
残高試算表とは、総勘定元帳(勘定科目別の取引金額、取引内容がかいてあるもの)の各勘定科目について残高を集計した表、を指します。
つまり、その時点での、現金の残高がいくら、売上の合計がいくら?が分かるということです。つまり決算書みたいなものですよね?
余談
いかがでしたでしょうか?
経理初心者の方には参考になる部分があったのではないでしょうか?
私自身も復習になりました(笑)
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