相続した実家を譲渡した場合の節税規定について説明します!

相続税

みなさんこんにちは、鹿児島の税理士の引地です。

今回は、相続した実家を譲渡した場合の節税規定である「空き家に係る譲渡所得の特別控除」の規定について解説していきたいと思います。

例えば、ご実家に母が住んでいて、父はすでに他界していたとします。そして母もお亡くなりになった後に実家が空き家状態になりますから、空き家で持っているよりかは売却しよう、ということもあると思います。

そして譲渡してみたら利益が出て、いざ確定申告。となったときにその利益(所得と言います。)を控除する規定が「空き家に係る譲渡所得の特別控除」になります。

今回は、その制度の説明をしていきますね!

制度の趣旨

なぜこの制度で所得を控除できるのか、趣旨から押さえていきましょう。

この制度の趣旨としては、古い耐震基準で建築された家屋を放置しておくと、いずれ倒壊の可能性もありますし、また周りとの景観とそぐわなくなってくる可能性があります。

そういった、古い耐震基準で建築された家屋については売却を進め、その土地を活用して新しく家屋が建ったりすることの方が社会的に見ても良いため、昔に建った空き家の売却を促進させるために、この制度ができました。

適用要件

さきほど、制度趣旨について説明しましたので、今から説明します適用要件についてもすんなり理解ができると思います。

適用要件ですが、

相続又は遺贈により被相続人居住用家屋及び被相続人居住用家屋の敷地等を取得した個人が、相続の開始があった日から同日以後3年を経過する日の属する年の12月31日までの間に、対象となる譲渡をした場合には、譲渡所得の金額から3000万円控除する

という規定になっています。

すこし、用語の説明をしていきますと、

被相続人居住用家屋

  • 相続開始の直前において被相続人(亡くなった方)が住んでいたこと
  • その家屋は昭和56年5月31日以前に建築されたこと(つまり昔の耐震基準で建築された家屋ということ)
  • 区分所有するマンション(分譲住宅)でないこと
  • 相続開始直前において被相続人以外に居住をしていた者がいなかったこと(つまり、被相続人一人暮らしだった、ということ

上記要件を満たす家屋をいいます。

被相続人居住用家屋の敷地等

  • 相続開始の直前において被相続人居住用家屋の敷地に供されていた土地等

この要件を満たす土地をいいます。

対象となる譲渡

対象となる譲渡とは2種類の譲渡があり、いずれかに該当する必要があります。

1つ目、家屋の取り壊し等後のその敷地等の譲渡

  • 相続開始時から取壊し時までの間は空き家であったこと
  • 相続開始時から譲渡時まで、その敷地を何らの用途に供していないこと
  • 取壊し時から譲渡時まで空き地であること

上記要件を満たす必要があります。

引地税理士
引地税理士

なお、取り壊し費用については、こちら側で取壊作業をしてから

その敷地を譲渡しないと対象にならないことに注意してください。

2つ目、家屋及びその敷地等の譲渡

  • 相続開始時から譲渡時までの間、空き家であること
  • 家屋については、耐震リフォームをしてから譲渡をすること

上記要件を満たす必要があります。ですが、耐震リフォームをしてから譲渡することは少ないと思いますので、こちらはあまりないかもしれませんね。

適用除外

ただし、こちらの規定にも下記のいずれかの要件を満たすときは、適用を受けることができません。

  • 譲渡対価が1億円を超える場合
  • 相続税額の取得費加算の適用を受ける場合(空き家譲渡の特例か、取得費加算のいずれか片一方しか使えない)

必要となる書類

国税庁から必要な書類を引っ張ってきました。

1、譲渡所得の内訳書(確定申告書付表兼計算明細書)【土地・建物用】

2.被相続人居住用家屋及びその敷地等の登記事項証明書その他の書類
(相続により取得したこと、家屋が昭和 56 年5月 31 日以前に建築されたこと及び区分所有建物登記がされている建物でないことがわかる書類)

3.被相続人居住用家屋又はその敷地等の売買契約書の写しその他の書類(売却代金が1億円以下であることを明らかにするもの)

4.被相続人居住用家屋等確認書
※ 被相続人居住用家屋の所在市町村に申請し、交付を受けます。詳しくは市町村にお尋ねください。

5.被相続人居住用家屋の耐震基準適合証明書又は建設住宅性能評価書の写し(耐震リフォームをして譲渡する場合は必要になる)

国税庁 相続した空き家を売却した場合の特例チェックシートより

確定申告書に上記資料の添付が必要になってきます。

余談

社長
社長

3000万の控除はでかいなー

引地税理士
引地税理士

そうですね。

税理士によっては見落としてたりする可能性もありますので、

依頼者側も適用できるかどうか聞いといた方がいいかもしれませんね

コメント

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