一般社団法人の設立の流れ、会計の仕方、税金の計算についてざっくり解説

税務・会計

皆さんこんにちは、鹿児島の税理士の引地です。

今回は、一般社団法人の設立の流れから、会計の仕方、税金の計算についてざっくり説明していきたいと思います。

よく「一般社団法人〇〇センター」とか聞きますよね。実態としては一般社団法人とついていても営利活動的な側面があったりしますが、一般社団法人とつくと公益的な感じがして印象がいいですよね。

今回参考にさせていただいた書籍が「一般社団法人・一般財団法人の設立・会計・税務ハンドブック」(著者:脇坂誠也)です。ものすごく分かりやすく、これを読むと一通りのことがおぼろげながら理解ができます。

ということで、今回は著書の中でも、特に絞ってお伝えしていきたいと思います!

一般社団法人とは?

まず、そもそも論として一般社団法人とはどのような法人なのかというと、

簡潔に言いますと、剰余金の分配を目的としない法人で、登記によって法人格を取得できる法人のことを指します。

そもそもとしては、一般社団法人は公益法人制度の改革によってできた非営利法人制度になります。

非営利法人は、構成員に対して利益の分配を目的とする法人でないのですが、利益を稼いではいけない、というわけでもありません。

稼いだ利益については、その法人の目的達成のために使っていく法人が一般社団法人となります。

※なお、一般財団法人についても同じことが言えます。

一般社団法人はどういう機関設計になるのか?

社団法人とは、一定の目的を遂行するために結合した人の集合体です。人の集合体ですので、その構成員の意思が尊重されます。構成員のことを「社員」といいますが、この「社員」は、法人の従業員ではありません。

そして、社員が集まった「社員総会」が最高の意思決定機関であり、社員総会でその法人の目的を決定し、職務執行を決定する理事を選びます。

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一般社団法人では、社員総会は最高の意思決定機関なので設置が必須となり、理事についても1人以上は置かなければなりません。

職務執行を決定する役割が理事なので、理事が複数いる場合には、理事会を設置することも可能です。

ですが、社員の全員が理事である場合には、理事会は設置せずに、社員総会で決めるという形にすれば、運営が楽なようです。(理事会、社員総会で決定事項を分ける必要がないので)

なお、理事会を設置する場合には、監事の設置が必須になります。監事とは、理事の職務執行を監督する役割を持ちます。

一般社団法人の設立の手続きは?

(1)設立時の社員が行うこと

①一般社団法人の概要を決める
 最低でも2人以上の発起人が必要。(のちに退社して1名になっても問題はない。おそらく人の集まりが社団なので、2人以上の発起人を必要としているのではないかと思います。)

②定款を作成し、公証人の認証を受ける

③設立時理事等を選任する
 定款で理事、監事を定めなかった場合には、設立時社員は、設立時理事・監事を選任します。

(2)理事、監事が行うこと

①設立時代表理事を選任する
 理事会設置法人の場合には、理事会で設立時の代表理事を選定します。ただし、設立時の定款で代表理事を定めている場合には不要です。なお、理事会を設置しない場合には、代表理事を置かないことも可能です。

②設立時理事・監事が調査をする
 一般社団法人の設立の手続きが法令または定款に違反していないことを調査しなければいけません。

③法務局で登記申請をする
 法人を代表すべき者が主たる事務所のある住所地を管轄する法務局で設立の登記申請をします。

設立登記に必要な書類

一般社団法人の設立登記時に必要な書類として、以下のものがあります。

・定款(公証人の認証を受けたもの)
・設立時理事及び監事の選任に関する書面(定款の附則に定めている場合は不要)
・設立時代表理事の選定に関する書面(定款の附則に定めている場合は不要)
・設立時理事及び設立時監事の就任承諾書(印鑑は認印で可)
・設立時代表理事の就任承諾書(印鑑は実印で印鑑証明書が必要)

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税金はかかるの?どうやって計算するの?

一般社団法人・一般財団法人は、法人税法上「非営利型法人」と「非営利型法人以外の法人」に分かれます。「非営利型法人」に該当すれば、法人税法上の収益事業から生じた所得のみが法人税の課税対象になります。「非営利型法人以外の法人」に該当すれば、株式会社などの普通法人と同様に、すべての所得が法人税の課税対象になります。

P20

つまり、一般社団法人には、法人税の規定が適用されることになります。

非営利型法人には、「非営利徹底型法人」と「共益活動型法人」の2種類に分かれます。

非営利徹底型法人とは、剰余金の分配を行わない、残余財産の帰属先が公益的な活動を行う法人に限定されるなどの要件を満たす法人です。

共益活動型法人とは、会員に共通する利益を図る活動を行うことを目的とするなどの要件を満たす法人のことをいいます。

非営利型法人とするための要件として、「各理事について、理事とその理事の親族等である理事の合計数が、理事の総数の3分の1以下であること」という要件が出てきます。

つまり、非営利型法人にするためには、理事が3人以上はいないといけない、ということにも注意です。

会計の仕方、財務諸表の表示はどのようにするの?

一般社団法人・一般財団法人は、一般社団・財団法第123条により、各事業年度に係る貸借対照表、損益計算書、これらの附属明細書を作成しなければならないこととされています。

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一般社団法人についても、普通の企業と同じように、貸借対照表、損益計算書等を作らないといけない、ということになっています。

これらの書類を作成するのに、どのような会計基準を使えば良いかについては、特に義務づけられている会計基準はなく、一般に公正妥当と認められる会計の基準その他の会計の慣行を斟酌することが求められています。

P55

会計基準の中にも、公益法人会計基準、NPO法人会計基準、社会福祉法人会計基準、学校法人会計基準、企業会計基準などがありますが、

公益認定を目指している、一般社団法人については、公益法人会計基準。公益認定は目指していないが会員、寄付者などの支援者に適切な情報を開示したいと考えている一般社団法人はNPO法人会計基準。活動内容はほとんど営利法人と変わらない一般社団法人については、企業会計基準。が良いのではないかと思います。

NPO法人会計基準について詳しく説明しますと、その趣旨としては、「市民の期待とそれにこたえるべきNPO法人の責任の双方にふさわしい会計基準とはいかなるものであるか」ということを前提として作られており、

①市民にとってわかりやすい会計報告であること。このために、会計基準策定にあたり、会計報告の作成者の視点以上に会計報告の利用者の視点を重視すること

②社会の信頼にこたえる会計報告であること

を目的としているため、非営利を目的とする一般社団法人の趣旨とリンクするため、企業会計基準よりも優先されるべきと考えられるからです。

NPO法人会計基準は、支援ツールが充実しているようで、ホームページ「みんなで使おう!NPO法人会計基準」で、様式のダウンロード、会計ソフトの紹介、質問掲示板などが掲載されているようです。公益法人会計基準対応の会計ソフトは、高額なものが多いようです。

余談

引地税理士
引地税理士

いかがでしたでしょうか?

概要を書いてきたつもりですが、

なんとなく設立できそうなイメージが付けれたようでしたら幸いです。

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