消費税の申告書の書き方を大まかに税理士が説明します!【簡易課税編】

税務・会計

売上1000万円を超えてきたら、2年後には消費税の納税義務が生じることとなります。そうなってきたときに考えるのは、

「消費税の申告書ってどうやって書くんだろう」

「税理士さんに頼むべきなのかな?」

そういう疑問が生じますよね。

今回は個人事業主の方でも、簡単な消費税の申告書は書けるようにポイントをお伝えします!【簡易課税編】

消費税ってどうやって計算するの?

消費税の計算を簡単に説明しますと、物などを売った際に受け取った消費税から、物などを買った際に払った消費税を控除した残額を国に納付する形になります。

だから事業者からすれば、国の代わりに消費税を一時的に預かっているにすぎないんです。

その消費税の計算には二通りの仕方があります。それが、本則課税(本来の計算の仕方)と簡易課税という二種類の方法があります。

今回は小売店のケースを想定して、簡易課税の計算の仕方をお伝えします!

簡易課税

付表4ー3

https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/shinkoku/shohi/06_pdf/4-3.pdf

まず、こちらから記入しましょう。列が6.24と7.8に分かれていますが、こちらは10%税率の取引なのか、それとも軽減8%の取引なのかで、列が異なります。

10%の時は7.8%のA列、8%の時は6.24%のB列を使います。7.8とか6.24とかは国税の税率を指しています。つまり10%だったら、国税7.8%と地方税2.2%ということです。

地方税は、国税が求まった段階で78分の22をして割り戻して計算するのでいったん無視して大丈夫です。

1、まず付表4-3の、行番号①ー1の課税資産の譲渡等の対価の額ですが、

こちらは、売上の税抜きを書いていきます。

例えば、日用品の売上(税率10%)が税込110万、飲食品の売上(8%)も税込110万円が本年の売上だとしますと、

A列は1,018,518円、B列は1,000,000円と記入します。

2、次に、行番号①の課税標準額ですが、

先ほど計算した売上を千円未満を切り捨てて記入します。

なのでA列は1,018,000円、B列は1,000,000円ですね。

税金計算の共通のルールとして、「税率をかける前に:いったん千円未満切り捨てをします。

3、次に、行番号②の消費税額ですが

先ほど計算した、課税標準額に税率を乗じていきます。

なのでA列は1,018,000円×6.24%=63,523円(円未満は切り捨て)、B列は1,000,000円×7.8%=78,000円となります。

ここでいったん、売上で預かった消費税の計算は終わりましたので、次に、仕入にかかった消費税を計算していきます。

4、次に付表5-3に移ります。

付表5-3→https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/shinkoku/shohi/06_pdf/5-3.pdf

こちらの表は、簡易課税で計算する場合の、仕入にかかる消費税を計算する表となります。

そもそも、簡易課税とは小規模事業者のための簡易的に消費税を計算をするための方法です。小規模事業者だと大企業と違って事務能力が低いでしょうから、小規模事業者の負担軽減のための制度になります。(特に昔は税金の計算が手書きだったので)

どう、負担軽減になるのかというと、

仕入にかかった消費税額を、「売上の消費税額の〇%」という形でざっくり計算します。

なので、極端に言うと仕入にかかる消費税額の計算に帳簿を見る必要がありません。

本来の計算(本則課税)の場合には、仕入れにかかる消費税額を控除するためには帳簿が必要で、その帳簿を見て、控除の対象となる消費税を拾い出していくのですが、簡易課税の場合にはその必要がありません。

5、まずタイトルⅠ「控除対象となる消費税額の~」の①と④の行に売上にかかる消費税額を転記します。

なので、A列は63,523円、B列は78,000円ですね。

6、次に、タイトルⅡ、もしくはⅢに数字を入れていきます。

1種類以上、とか2種類以上とか書いてますが、売り上げの性質に応じて6区分に分かれています。

事業区分の表→https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6509.htm

この判定が肝になるのですが、

ざっくり、どの区分になるのかといいますと、

  • 第一種→卸売業(買った商品をそのまま事業者に売る)→みなし仕入れ率90%
  • 第二種→小売業(買った商品をそのまま消費者に売る)→みなし仕入れ率80%
  • 第三種→製造業など(物を作って売る)→みなし仕入れ率70%
  • 第四種→それ以外の区分→みなし仕入れ率60%
  • 第5種→サービス業→みなし仕入れ率50%
  • 第6種→不動産業→みなし仕入れ率40%

と分けるので、今回は小売店で売り上げが第一種しかないので、タイトルⅡを使います。

みなし仕入れ率は80%なので、タイトルⅠの売上にかかる消費税に掛け合わせるので、A列50,818円、B列62,400円。

つまり、売上にかかる消費税の80%は仕入れにかかる消費税だからその分控除していいよ~って三色になります。

ざっくりですよね(笑)

それでは、仕入れにかかった消費税は計算士終わりましたので付表4-3に移ります。

7、付表4-3の④と⑦に仕入れにかかる消費税額を記入します。

なのでA列は50,818円、B列は62,400円ですね。

8、次に⑧、⑨に金額を記入します。

売上にかかる消費税から仕入れにかかる消費税を控除して、その差額である納付税額が出るときは、⑪、むしろ還付税額が出るときは⑩に記入します。

9,次に地方税部分を計算するため、⑩、⑪欄に記入します。

地方税は割り戻して計算するので、⑩には⑧の金額を、⑪には⑨の金額の100円未満切り捨てした金額を記入します。(還付の時は、1円単位で国としては返したいので切り捨てしないのですが、納付がですときは課税標準で1000円未満切り捨てした時と同じ理由で100円未満切り捨てします。)

10、次に⑫、⒀欄に記入します。

算式とおり、⑩、⑪の金額を割り戻してください。

最後に第1表、第2表に転記すれば完了です。

第1表→https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/shinkoku/shohi/pdf/01-kanikazei.pdf

第2表→https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/shinkoku/shohi/pdf/02.pdf

あとは、上記で求めた数値を、第1表、第2表に転記すれば完成です。

今回のケースだと売上が1種類しかないケースだったので、簡単な計算でしたが、2種類以上だと計算が変わったり、そのほかに「そもそもこれは消費税かかるの?」という論点もあるのですが、

今回の説明で、申告書記入のハードルが下がったと思いますので、ご参考いただければよいと思います☆

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