【相続税減額】親が住んでいた土地を相続した時の優遇措置【特定居住用宅地等】

相続税

今回は、親が住んでいた土地を相続した際の、相続税の優遇措置である特定居住用宅地等についての小規模宅地等の減額規定について説明したいと思います。

まずは、制度の趣旨から押さえましょう。趣旨としては、「その宅地等を相続した人の生活基盤を守るために、その宅地等(建物の立つ土地)については相続税を軽減しよう」というものになります。

相続税の計算をするうえで、減額される金額がかなり大きいので、ご自身のケースに当てはめてみて、適用ができそうなのであれば、税理士にご相談してみてはいかがでしょうか?

今回は、小規模宅地等の特例の中の「特定居住用宅地等」にまつわる部分を解説していきたいと思います!

誰が対象となるのか?

親の住んでいた宅地等を取得する人で、生活の基盤を守るべき人としては下記の方が挙げられると思います。

  • 配偶者
  • 同居していた子供
  • 別居はしているが、賃貸暮らしの子供
  • 親所有の土地をただで貸してもらって、自宅を建てている子供

いかがでしょうか?

配偶者はもちろんそこに住み続けるでしょうから、土地に税金がかかってその土地を手放さないといけなくなったとなったら問題がありますよね。あくまで相続税は「相続によって得をするんだから課税する」ものなんですから、手放さないといけなくなったら本末転倒です。同居していた子供を同様の理由です。

別居はしているが、賃貸暮らしの夫婦とかも持家はないわけですから、実家を相続したとなったら将来そこに戻ってきて住み始めるかもしれません。ですからここに課税するのも問題がありますよね。

親所有の土地をただで貸してもらって、家を建てている子供についても、親の土地であるわけですから、いざ相続となって相続税がかかってしまうと、そこを出ていかないといけなくなるので問題です。

ということで、減額の対象となる人については、上記の配偶者、同居していた子供、別居はしているが賃貸暮らしの子供、親所有の土地をただで貸してもらって、自宅を建てている子供が該当することになります。

特定居住用宅地等とは

導入で誰が相続したら、土地が減額されるのかを解説しましたので、割と特定居住用宅地等の内容についても分かりやすくなると思いますので、ここで説明していきます。

特定居住用宅地等に該当するためには、

Ⅰ.生前、被相続人の居住用に供されていた宅地等の場合
 ①配偶者が取得・・・要件なし
 ②同居親族が取得し、居住継続・・・要件①
 ③3年内家なき子が取得・・・要件②
Ⅱ.生前、被相続人と生計を一にしていた親族の居住の用に供されていた宅地等の場合
 ①配偶者が取得・・・要件なし
 ②生計を一にしていた親族が取得し、居住継続・・・要件③

上記いずれかの要件を満たす場合に、宅地等の評価が減額されます。

「生計を一」というのは、生活費を一緒にしているという意味です。ここでいうⅡ.の「生計を一にしていた親族の居住の用」でしたら、親の介護料などを子供が負担している場合などは「生計を一にしている」といえます。

「要件」とあるのは、少し細かいところを説明しますので、そのための表記になります。

こう見ていくと、配偶者は要件が無いわけですから、相続、遺贈(遺言により取得すること)だけで特定居住用宅地等に該当することになります。

まずは、要件①、③の居住継続とあるのは、相続税の申告期限(相続開始の日の翌日から10ヶ月を経過する日)まで引き続き、その宅地等を所有し、住み続けなさい、という意味です。ですから、相続税の申告期限後に売却することによって、この特例の適用が取り消されるということはないのでその点は留意してください。

要件②がややこしいです。簡単にいうと、相続開始前3年以内に持家が無ければいいのですが、細かく要件を言うと

①被相続人に配偶者、同居親族がいない
②別居親族が相続開始時に居住用家屋を所有したことがない
③別居親族、別居親族の配偶者、別居親族の三親等内の親族または別居親族と特別の関係がある法人が所有する家屋に相続開始前3年以内の間住んでいない
場合で、別居親族が居住用宅地等を相続開始時から申告期限まで所有する

税理士事務所スタッフは見た!ある資産家の相続P155

ということになっています(笑)こんなに細かくなっているのは、過去この制度を濫用して減額が行われていたから、こういう複雑なことになっています。

引地税理士
引地税理士

読むのも大変…

どのくらい減額されるの?

特定居住用宅地等に該当する場合には、基本的には、限度面積330㎡までの部分について、80%減額されます。

1坪3.3㎡なので、330㎡÷3.3=100。つまり100坪までの宅地については減額されるということになります。100坪といったら立派な邸宅なので、普通の住宅である場合にはその敷地MAX減額が受けれると思えばよいでしょう。

では、具体例を用いてみましょう。

被相続人が住んでいた、相続税評価額1000万円の宅地があったとして、これを配偶者が相続したとなると、小規模宅地等の減額の規定により相続税評価額が200万円となります。

これはかなりでかいことで、相続税の最低税率が10%ですから、相続税が80万円変わってくることになります。

あと、この規定は相続税の申告書を提出しないと使えない規定なので注意してくださいね!

余談

社長
社長

適用があるかないかで大幅に税額が変わってくるんだな~

引地税理士
引地税理士

そうなんですよ…。

相続税の申告は案件自体も少ないので、

税理士の知識・経験によって税額に差がでる税目でもあります

引地税理士
引地税理士

ただ、だれが税金がすべてではないので、

ご遺族の意向を聞いて、どうするかは判断するようにしてもらっています

社長
社長

俺も勉強して、家族と話し合っておこう

コメント

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