こんにちは、鹿児島の税理士の引地です。
今回は雇用保険制度について分かりやすく解説します。
なんとなく給料明細から引かれている雇用保険料。実際どんな制度なのか分かっていないのに天引きされている節があります。
なんとなく失業したら給付金貰えそうな感じだとはなんとなく理解できますが、実際の制度を学習する機会はないと思いますので、今回一緒に勉強していきましょう。
今回の参考文献は、「わかりやすい 社会保険制度」(著者:結城康博・河村秋・大津唯)を参考にさせていただきました。また、一部自力で調べたところも加えてさらに分かりやすく説明していきます。
雇用保険とはなにか
雇用保険制度について書かれていたところを引用しますと、
・・・つまり、保険とは何か特別なことが起こって、生命や財産が脅かされることを防ぐために、掛け金をかけて備えるものである。その意味で、雇用保険は、仕事を失うことにより収入減がなくなり損害を被った人が、日常生活を営むことができなくなることを防ぐため、生活できるだけの収入を保障する制度であり、「保険」という性格を有しているものである。
加えて、労働者の能力開発、向上や、労働者の福祉の増進を図る事業も行われているのが特徴である。
わかりやすい 社会保険制度P131
なるほど、収入がなくなったことによる損害に備えるために
掛金を払っていたのですね。
その意味で「保険」という意味なんですね。
制度概要
雇用保険制度の概要としては、失業等給付などがあります。
失業等給付⇒求職者給付・就職促進給付・教育訓練給付・雇用継続給付の4種類があります。
その他に行っている事業として雇用安定事業や能力開発事業を行っており、こちらについては、企業への給付ってイメージです。
今回は、失業した場合の給付である、求職者給付について説明します。
求職者給付
求職者給付、つまり仕事を探している人への給付ですが、求職者給付には、基本手当、技能習得手当、寄宿手当、傷病手当の4種類があります。今回は、基本手当と傷病手当について詳しく見ていきます。
基本手当
基本手当とは
基本手当は失業した時にもらえる給付です。こちらの給付については自己都合退職なのか、もしくは会社都合退職なのかで給付内容が変わってきます。
自己都合退職の場合は、雇用保険に加入していた期間が、会社を退職する以前2年間のうちに12ヶ月以上あることが要件になっています。雇用保険の嘉入期間が10年未満の場合は給付日数は90日、10年以上20年未満は給付日数は120日・・・などとなっています。
会社都合の退職(特定受給資格者といいます)の場合は、雇用保険に加入していた期間が、会社を退職する以前1年間のうちに6ヶ月以上あることが要件になっています。給付日数は雇用保険の加入期間が1年未満の場合は給付日数90日、1年以上5年未満の場合は給付日数は90日~150日(年齢によって異なります)・・・などとなっています。
障碍者の方については、別途基本手当が定められています。
では、基本手当の1日当たりの給付額はいくらなのかというと、
基本手当日額=(被保険者期間の最終6ヶ月に支払われた賃金の総額)÷180日×50%~80%
となっています。「50%~80%」となっているのは、賃金が低い人は給付率が高く、賃金が高い人は給付率は低く設定しているためです。
給付開始はいつから?
失業してからすぐに基本手当を給付できるわけではなくて、実際には、会社を辞めた後、会社の方で雇用保険の資格喪失手続きを行い、離職票を送ってもらい、それを持ってハローワークで手続きを行ってから、給付開始となります。
さらに、その給付開始となってから7日間は待期期間といって、ハローワークの方で失業の有無を確認している期間になりますのでその間は基本手当は給付されません。
なお、離職票は再就職先が決まっている人については送らなかったりするようなので、退職する前に離職票を送ってもらうようにお願いしましょう。
それで、その待期期間の7日が過ぎてから、会社都合での退職の人については給付が受けられて、自己都合退職の人については、すぐには給付は受けられずそれから原則3ヶ月後から給付が開始されます。
また給付を受ける際も、ただ待っているだけで貰えるものではなく、定められた失業認定日に失業認定申告書を提出することによって、その後給付を受けられる形になります。
ハローワークに出向く必要があるのも、ハローワークの方で失業中なのかを確認する必要があるからだそうです。
失業認定日は4週間ごとに定められており、月1回ハローワークに行く感じになりますね。
傷病手当
基本手当は、病気やケガにより退職した場合には受けられませんが、その場合は傷病手当が支給されます、基本手当と日額の給付金は同じで、給付日数は最大3年間受給期間が延長されます。
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