日当はいくらまで払っていいの?よくある疑問に解説します

税務・会計

皆さんこんにちは、鹿児島の税理士の引地です。

今回は、みなさんよく疑問に持たれている、日当はいくらまで払っていいのか?という議論について、私なりの考え方を解説していきたいと思います。

社長
社長

うちは、出張で宿泊有りの場合の日当は、2万円出してるけどな。

引地税理士
引地税理士

2万円はさすがに高すぎだと思いますね。。。

日当の金額の妥当性については、これまでの判例や、法令、そもそも日当は何のために支給されているのか?という現実的な視点からとらえなおす必要があると思います。

日当とはそもそも何のために支給されているのか?

昭和44年3月26日に東京地方裁判所で行われた税務訴訟における判決文において、下記の記述があります。

(イ)日当

所謂日当とは旅行中の中食費の補給日およびこれに伴う諸雑費並に目的地たる地域内を巡回する場合の車賃等の交通費および諸雑費にあてるための旅費であると解されており、おおむね中食関係費が半分その他の費用が半分という構成が考えられているから旅行の時間的、距離的条件によつて日当の定額に際を付するのが合理的である

また、昭和50年10月16日判決の宇都宮地方裁判所で行われた税務訴訟における判決文において、旅費の支給について下記の記述があります。(税務署側の準備書面)

旅費は、職務を遂行するために通常必要な旅行を行った場合、その旅行実費を弁償するために受けるものである。よってそれは本来現実に必要とされた一切の費用を弁済すべきものであり、また、それで充分であるが、旅行のため必要とされた費用であるかどうかの判定は、結局1人1人旅行者の跡をつけて行かなければわからない問題であって、その客観的な判定は極めて困難である。

したがって、国はもちろん地方公共団体、企業等の旅費支給者の多くが、いわゆる定額旅費制度を採っている。すなわち、この制度の趣旨は、旅行経路、利用交通機関及び宿泊施設等について、個々にその実態をは握したり、その実費費用を計算することの困難煩雑をさけるため合理的な根基により社会通念上の実費に近い定額をあらかじめ規定して事務的手続きを簡素化しようとするものである。

そこで、税務の面においても、右の定額が本来の実費弁償に代えて社会通念上妥当な合理的基準に基づき算定されているならば、その定額と旅行実費との間に若干の過不足があっても、それは僅少の差に止まるであろうから社会通念及び課税技術上あえてその余剰分については課税を行わないことにしているわけである。

上の判決からするに、つまり日当とは、出張する際にかかってしまう、昼食費、その他雑費(出張時の電話代、消耗品)を企業が負担するために補給するお金であるといえます。

ここで、ポイントは夜食代は含まれていない。ということがポイントです。

実は、上記の日当の定義は旅費法における定義で夜食代等については、宿泊料の中に含まれていると定義されています。(同上 昭和44年3月26日に東京地方裁判所で行われた税務訴訟における判決)

(ロ)宿泊料

宿泊料は、旅行中の宿泊の費用、すなわち夕食代および朝食代並びに宿泊料金およびこれらに伴う諸雑費に充てるため支給される旅費と考えられるから斯かる費用実費の宿泊先における差異を前提として規定するのが合理的であり、例えば国家公務員旅費法は斯かる視点に立つて具体的に各地域の旅館等について調査した結果、次のとおり甲地方と乙地方とに区分し、別表二の如くその定額を規定している。

つまり、日当の金額を決めるにあたって、昼食代、夜食代、およびそれにかかる雑費を含めるという前提に立つのであれば、旅費規定において、日当の定義にその旨を追加する必要があります。(もちろん日帰りの場合は夜食代まで支給するのはナンセンスですので、区分分けする必要があります)

日当の金額はいくらが限度?

ここからは私の主観になりますが、

昭和50年10月16日判決の宇都宮地方裁判所で行われた税務訴訟における判決文において、税務署が算出した日当の金額として、1日当たり1,000円は妥当であると裁判所が判断しました。

あくまで、この税務調査が入ったのは、昭和36年~38年分の調査だったため、この時の物価として、1,000円ということですので、令和5年の物価に直すと、大体5.5倍の5,500円程であると算出されます。

で、あくまでこれは、いわゆる昼食費その他雑費という意味での日当と定義して更正処分をしているため、泊りで出張する場合には、もう少し上乗せして問題ないと思います。

そのように考えると、旅費法の定義上、昼食その他雑費で5,500円であるのだから、つまり宿泊を伴う場合の日当としては、1日当たり1万円を支給しても問題ないのではないか?というのが私の現在の考えです。

ただあくまで、実費弁償であること。そのうえで多少の余剰が出るように支給することが一般的な解釈であることを理解した上で、日当の金額を支給することが重要であると思います。

余談

引地税理士
引地税理士

日当、宿泊費を別に定額支給する場合でしたら、

上記の金額は誤りですが、

宿泊料については実費精算、昼食費、夜食費、そのほかの雑費を補給する、

という意味で支給するのであれば、旅費規程上の定義にその旨を記載することが重要であると考えます。

社長
社長

旅費規定も奥が深いな~

コメント

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