皆さんこんにちは、鹿児島の税理士の引地です。
今回は、MS法人を設立したことによる節税効果など、MS法人にまつわることについて解説していきたいと思います。
MS法人とは
MS法人とは、「メディカル・サービス法人」の略称で、医薬品・材料の仕入れや、レセプト請求、不動産の貸付などを行う法人を言います。
メディカルにサービスする法人ということか
一般に節税目的で設立する法人のイメージが強いですが、そもそもの設立の趣旨としては、病院以外の業務を分社化することによって、経営の管理体制を効率化する意味合いがあります。その点、一般法人で分社化するのと同じ考え方です。
法人である医療法人の場合は、医療法に定められた業務しか基本行うことができないため、サプリメントの販売をしたり、健康食品を販売するにはMS法人を設立することが必要になります。(個人事業として行う場合は別です)
他にも、医療法人とMS法人を分けることによって、別個の人事制度を作ることで、それぞれ独自の昇給基準や、退職金規定を定めることで、医療スタッフと事務部門、別々の昇給基準、退職金規定を規定することが可能です。
MS法人のメリット
①結果的に所得の分散が図れる
特に医療法人の場合は、所得水準が高い場合があるので、MS法人とで業務を分散した場合、トータルでの税額は安くなる場合があります。
MS法人のデメリット
①医療法人とMS法人が同族関係にあるため、利益操作の疑いがかけられる
明らかに節税目的と認定される場合には、その取引自体が税務調査の際に否認されて、追加で税金を納める羽目になる場合も想定されます。
MS法人を設立する場合の注意点
「実務家必見! 病医院の実践税務」(編著:税理士法人アフェックス)にMS法人の実態がないとされた事例が挙げられていましたので、掻い摘んで取り上げたいと思います
①MS法人の本社が病医院内にある
②病医院と掛け持ちの担当者ばかりで、MS法人専属の担当者が1人もいない。
③家賃・人件費の負担がない。
④病院から独立した意思決定がなされていない。
⑤社長の勤務実態がない。
「実務家必見! 病医院の実践税務」(P253)
つまりは、普通の事業会社であればあり得ることをしていない場合に否認されるという認識でいいと思います。
余談
ここまで説明しておいて、なんなのですが、
必ずしもMS法人を作ったからと言ってコストが抑えられるわけではないと思います。
事務の煩雑さは増えますし、税理士費用も増えます。
シミュレーションを踏まえたうえで、税理士と相談するようにしてくださいね
コメント