配当金で節税ができるのか?について解説

税務・会計

皆さんこんにちは、鹿児島の税理士の引地です。

今回は、配当金を支払うことによって節税ができるのか?というテーマで解説していきたいと思います。

今回取り上げるに至った経緯として、最近読んだ本で、「配当金で社長の支出を抑える!」とか、セミナーでも同様のテーマでの話がありまして、今回それを調べましたので、解説をしていきたいと思います。

配当金で節税?

引地税理士
引地税理士

結論から言うと、配当金は基本は節税にならないと思います

社長
社長

ガーン。。..効果ないの?

引地税理士
引地税理士

節税というよりは、社会保険料の削減ができますね。

社長
社長

ほう、そうなのか!

引地税理士
引地税理士

社長に対して、役員報酬として払うと、社会保険料がその役員報酬に対してかかってきますが、配当の場合には、社会保険料の算定には関係がないので、給与の代わりに配当で支払うことによって、トータル的に支出を抑えることができます。

具体例

引地税理士
引地税理士

例えば、役員報酬700万円支払う場合を考えてみましょう。

役員報酬7,000,000円-1,800,000円(給与所得控除)-1,050,000円(個人の社会保険料15%)-480,000円(基礎控除)=3,670,000円

3,670,000円が税金をかける元となる数字になりますので、

3,670,000円×20%-427,500円=306,500円(所得税)

住民税はだいたい、372,000円

そして会社負担の社会保険料1,050,000円

ですので、税金+社会保険料の負担額としては、1,050,000円+306,500円+372,000円+1,050,000円=2,778,500円が税金、社会保険料の負担額となります。

引地税理士
引地税理士

次に、役員報酬を300万円とし、配当金として400万円の年四回支給するケースで見ていきましょう。

役員報酬3,000,000円-980,000円(給与所得控除)-450,000円(個人社会保険料)+4,000,000円(配当金。もちろん収入になりますので、所得計算の上でプラスします)-480,000円(基礎控除)=5,090,000円

5,090,000円が税金をかける元となりますので、

5,090,000円×20%-427,500円-400,000円(配当控除。確定申告で受けることができます。)=190,500円(所得税)

住民税はだいたい402,000円

そして会社の社会保険料450,000円

ですので、税金+社会保険料の負担額としては、450,000円+190,500円+402,000円+社会保険料450,000円=1,492,500円が税金、社会保険料の負担額となります。

引地税理士
引地税理士

結局のところ、130万円くらい支出を削減できていますが、

要因としては、役員報酬700万として取る場合の、社会保険料の個人・会社負担が210万円なのに対し、役員報酬300万+配当400万円とすると、社会保険料の個人・会社負担は90万円くらいなので、社会保険料だけで120万円くらい削減できています。

配当として支給する場合の注意点

社長
社長

えー、では引地先生。今後は配当金という形でヨロシクネ

引地税理士
引地税理士

いやいや、ちょっと待ってください。

配当金にするにもいろいろ注意点がありますので、

その点をおさえてから検討してくださいね。

配当として、支給する場合の注意点として

①個人で確定申告が必要

⇒配当金を収受する形になるので、年末調整をした後に、別途確定申告をしないといけません。源泉徴収税額の記載、配当控除の計算に注意が必要です。

②配当支払い時に議事録作成が必要

⇒株式会社、合同会社ともに、会社法上の決議をもって配当金が支給できるので、議事録が必要になりますので、その都度作成する必要があります。

③株式会社の場合、利益剰余金(繰越利益剰余金)の範囲内の配当、かつ、配当時の純資産が300万円未満の場合には、配当を支払うことはできない。

⇒配当を支払うことによって、お金が出ていきますから、株主でない債権者を保護する必要があるから、配当限度額が定められています。また、配当金の1/10を準備金として経理上積みに立てる必要があります(資本金の1/4に達するまで)。なのでちょっとややこしいですね。

④配当金支払い時に、20.42%を源泉徴収し、翌月10日までに、納付書で納税するという手間がかかる。

例えば、100万円配当するとなったら、実際に株主に渡すのは、100%-20.42%=79.58%なので、795,800円を支給することとなります。源泉徴収した204,200円は、税務署に納税する必要がありますので、忘れないようにする必要があります。

引地税理士
引地税理士

ちょっと、面倒な手続きがありますので、

実際に支給されたい場合は、税理士さんとよく話し合う必要があります。

余談

引地税理士
引地税理士

いかがでしたでしょうか?

配当に寄せられるのであれば、なるべく寄せた方が、

社会保険料は安くなります。

積極的に使いたい!という方は、税理士さんと綿密に打ち合わせてくださいね。

社長
社長

夢の、配当金生活!

引地税理士
引地税理士

…ちょっと意味が違う?

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