みなさんこんにちは。鹿児島の税理士の引地です。
法人を経営している方がよく疑問にお持ちの「役員に賞与を支給していいのか」問題。
役員に対する報酬を経費にするには、基本的には法人税法上の規定である「定期同額給与」に該当する必要があり、毎月同じ額面支給をすれば経費になる、っていう認識をお持ちの方は多いと思います。
じゃあ、役員に賞与を支給しても経費になるのか?
答えはなります。その場合は、「事前確定届出給与」と言って、事前に税務署に届け出を出してから賞与を支給すれば経費扱いとなります。
今回は、その事前確定届出給与の取扱いについて見ていきましょう。
事前確定届出給与とは
事前確定確定届出給与とは、あらかじめ支給日・支給額を税務署に届け出て、その届出書どおりに支給することによって、経費として扱うという規定になります。
事前確定届出給与には提出期限があり、支給額を決議した株主総会の決議日から2月を経過する日、または事業年度開始の日から4月を経過する日のいずれか早い日に提出する必要があります。「いずれか早い日」なので事業年度開始の日から4月までに提出すればいいと覚えておけば良いでしょう。
ちなみに新設法人の場合は、設立の日から2月を経過する日が提出期限となっております。
では、1円でも支給金額がズレていたり、支給日がズレていたりした場合はどうなるのかというと…、支給した全額が経費となりませんので注意してください。
★届出書の様式についてはこちら⇒https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kobetsu/hojin/010705/pdf/068-1.pdf
よくある疑問
届出をしてから支給額を変更することはできるのか?
臨時改定事由(単なる取締役から専務取締役に昇格した、とか降格したなどの事由)業績悪化改定事由(業績が著しく悪化した場合)に該当する場合には変更が可能です。
その場合には、「事前確定届出給与に関する変更届出書」を届出期限までに提出する必要があります。
臨時改定事由に該当する場合の届出期限は、その事由が生じた日から1月以内、業績悪化事由に該当する場合の届出期限は、その減額の改定に伴い開催する株主総会の決議日から1月を経過する日(支給日が前にくる場合には、支給日前に提出してください)となっています。
★事前確定届出給与に関する変更届出書についてはこちら⇒https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kobetsu/hojin/010705/pdf/071-1.pdf
一応届出は出していて、支給できそうにないときは、支給しないってのはありですか?
よくある質問です。「とりあえず出しといて、支給できそうにないときは支給しなければいいんじゃね?」とお考えのアナタ!
呼んだ??
そんなうまい話はありません。その届け出た支給日から1年を経過する日までに支払われなかった場合には、その1年を経過する日において支払ったものとみなして源泉徴収が必要になってきます。つまり、賞与払ってないのに源泉徴収される、ということです。
ただし、回避する方法はあります。その届け出た賞与の支給日前に、当該役員が事前確定届出給与を受け取ることを辞退する旨の書面と、会社側で事前確定届出給与を支給しない旨の決議をした書面を保存すれば問題ありません。
事前確定届出給与を支給する場合には、
税理士事務所と連絡を密に取るようにしましょうね!
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