相続において不動産はどう分割するのが良いかを解説

相続税

皆さんこんにちは、鹿児島の税理士の引地です。

今回は、相続において不動産はどう分割するのが良いかを解説します。

遺産の分割方法として、不動産については「〇分の〇」という形で相続人間で共有して取得することもできますが、共有で取得した場合のちのち面倒なことや、税制上不利になったりする可能性があります。

相続人間の感情としては共有で取得するという選択も気持ちはわかるのですが、悩ましいところです。

今回はそういった、不動産を遺産分割する際の注意点について解説していきます。

参考図書として、「不動産を買う・貸す・売るときの税金」(著者:伊藤達仁)を参考にさせていただきました。

問題先送りのための共有は避ける

被相続人の遺産の中に金融資産があまりなく、不動産があるケースですと、遺産分割の際に相続人間で平等で分割するために、とりあえず共有で取得するケースがあります。

相続人Aは「2分の1」相続人Bは「2分の1」みたいに、共同して取得する状態を「共有」といいます。

ただ、この共有した後、上の例でいうと相続人Aが亡くなったとき、その相続人Aが持っている不動産の権利がさらに細分化される可能性や、処分(売却等)の仕方について意見が合わなくなる可能性があるため、不動産の今後の管理や処分について問題が生じる可能性があります。

ですので、安易に共有で取得するという分割の方法は今後のリスクがあるということを念頭に置いておきましょう。

ただし、共有で取得した後、上の例でいうと相続人A、相続人Bが不動産をすぐに売却する意向である場合には、共有で取得することも良いケースもあります。

小規模宅地等の特例を考慮する

小規模宅地等の特例とは、その宅地の取得者が一定の要件を満たす場合には、その宅地の評価額を一定額減額(50%、80%)する制度になります。

制度の趣旨としては、例えば、これまで被相続人と住んでいた家を相続して取得して今後も住み続ける場合には、相続税をドカッと掛け過ぎてその土地を手放します、という状況に追い込んでしまったら良くないので一定割合減額するなど、取得者の今後の生活を保障するために、小規模宅地等の特例という規定があります。

この小規模宅地等の特例が使えるかどうかで相続税は大きく変わってきます。

ですので、相続税的には小規模宅地等の特例の規定を使える人に相続させた方が、全体の相続税額が下がることになりますので、その宅地等を取得した本人だけでなく、そのほかの相続人についても税額が下がるというメリットがあります。

相続税の計算は、被相続人の遺産の総額で大枠の相続税の総額が決定するため、そのようなことになります。

その点も考慮に入れて、分割することが好ましい場合もあります。

配偶者の税額軽減を適用するか次世代に(子供世代)に相続させるかを検討

配偶者の税額軽減とは、簡単に言うと、配偶者は1億6千万までの遺産を取得しても相続税はかからない、という制度になります。

仮に、1億6千万円を超えても、相続税はかなり軽減されるのですが、

制度の趣旨としては、被相続人の遺産は配偶者と二人で築き上げたものという考え方もできるので、あまり相続税を掛けないようにしよう、また、その配偶者も同年代であることが予想されますから、配偶者の相続がある日の遠くない可能性がある、という観点から配偶者の相続税額を軽減する制度になります。

ですので、第1次相続において、配偶者に遺産の全てを取得することによって相続税額が発生しないケースもありますが、その配偶者がなくなって第2次相続が発生した場合、その子供に相続税がかかって、トータルで見たら、第1次相続において子供に分割しておいた方が相続税の負担が抑えられた、というケースがあります。

理由としては、第1次相続と、第2次相続においての相続人の数の違いによって基礎控除額が変わりますので、そういった違いによりトータルの税負担が変わる可能性があります。

第1次相続、第2次相続どちらも考慮して、遺産分割を考えた方がいいケースもあるということを念頭に入れておいてください。

余談

引地税理士
引地税理士

いかがでしたでしょうか?

今回のようなシミュレーションは税理士に聞いたらしてくれると思いますので、

積極的に税理士を活用してくださいね。

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