皆さんこんにちは、鹿児島の税理士の引地です。
今回は、領収書がない状況で税務調査が入った場合、どうなってしまうのか解説します。
先生、領収書を捨ててしまいました。。
領収書捨てちゃだめですよ。
領収書というと、イメージが限定されそうですが、
とにかく支払ったことが証明できる資料が必要ですよ
税理士としてこれまで立ち会った中で、よくこういった事案はあります。
領収書についても保管期限がありますからね。。知らなかったですまされないのが法律。領収書がなかった場合、税務調査がどうなってしまうのか確認しましょう。
領収書がなぜ必要なのか?
法人税、所得税の計算は、
申告納税方式といって、税務署とかが、納税額を算出するわけではなく、
それぞれの個人で計算して、それを申告して納税する形になっています。
これと対になるものとして、固定資産税とか、自動車税とかは、賦課課税方式といって、
県とか市とかが納税額を決定します。
自分で申告して、よし、その税額でOKです!というわけではなく、
当たり前ですが、不正をしている人もいるため、提出した申告書と実態をチェックするため、
税務調査があるわけです。
で、その申告書に記載した数字は、集計した根拠、つまり帳簿があるはずなので、
その個人個人が作成した帳簿と、証拠を突き合わせるために領収書が必要になるわけです。
領収書がない場合はどうなる?
じゃあ、領収書がない場合はどうなるのかといいますと、
はい。
単に捨てただけで、帳簿がしっかりしているんなら、帳簿に書いている支払先に問い合わせて、
その事実関係を確認するでしょう。
ただ、捨ててる場合は、そもそも申告書もでたらめで書いている場合も多いでしょうから。
・・・。
そういった場合には、推計課税といって、社長の個人・あるいは会社の所得金額を
合理的な算定基準をもって所得金額を算定して、それをもとに課税することになるでしょう。
(調査結果の説明書を見て)えー!事実はそんな金額じゃないのに、その金額で算定されちゃうの?
反論をしたいなら、領収書等を提出して反証しないといけないです。
すててしまったら、反証の使用がないですね。。
推計課税にはどういった方法があるのか?
推計課税の方法としては、以下の3つの方法があります。
①比率法
・・・例えば仕入金額に、一定の比率を適用して推計する方法であり、本人比率法と同業者比率法があります。
つまり、利益率を一定であるものとして、
その本人の過年度の利益率を参考にするか、
同業者の利益率を参照します。税務署内部には、申告書データが集まっているため、
同業者比率法で計算することも可能、というわけです。
②効率法・・・調査対象者の販売個数や、従業員数等に同じような業種規模の一単位当たりの所得金額の平均値を乗じて所得金額を算定する方法です。
実際的には、売上金額は効率法をもちいて計算し、その売上に対する所得金額を比率法を用いて計算するという方法が多いようです、
③資産負債増減法・・・純資産(資産-負債)の増減額から所得金額を推計する方法です。
計算式として、所得金額=期末の純資産額-期首の純資産額-期中における資本増減額+利益処分による社外流出額 で計算します。つまり、簡単に言うと、生活費分だけ所得があるでしょ?ってことです。(ローンなり、教育費なり)
余談
つまるところ、「本当にあったんだ!」と主張するだけでは、だめってことですね。
そうなのか。。。
最後は訴訟で解決されるという前提に立つと、民事訴訟法の知識が重要です。
民事訴訟法においても、証拠の提出がない場合には、その事実が存否が不明であるから、
その事実はなかったものとみなされる。つまり、支払いはなかったものとみなされる、ということです。
別に、領収書に限らずに、
日時、相手方の氏名・名称、内容、支払った金額
が分かればいいわけですから、
場合によっては、受領書をもらうなり、対応したほうがいいかもしれませんね
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