決算書、試算表から横領を見抜くポイントを解説

税務・会計

皆さんこんにちは。鹿児島の税理士の引地です。

今回は、決算書、試算表から横領を見抜くポイントを解説していきたいと思います。

決算書とは事業年度末におけるいわゆる貸借対照表、損益計算書を指します。逆に試算表というのは、事業年度の中途における貸借対照表、損益計算書というイメージでいいです。

横領というのは、社員が会社のお金を勝手に抜き取ったり、私物を勝手に購入したりすることです。

従業員を雇っている会社については、経理社員による横領があるということを認識されているでしょうか?

お金の管理を任せっぱなしにすると、社員による横領が無いことも無いです。

金銭の横領があると、帳簿の数字がおかしくなってきますので、第三者目線で視ると分かることがあります。

今回は、何がおかしくなってくるのか?どこを気を付けないといけないのかを解説していきたいと思います。

帳簿のどこがおかしくなってくるのか?

帳簿上、おかしくなってくるのが、

①現金勘定の残高

②代表者貸付金の増加、代表者借入金の減少

③粗利率

です。

現金勘定の残高

横領があった場合、現金勘定の残高がおかしくなってきます。

具体的には、実際の手持ち現金より、帳簿の現金残高が多い状態になります。

なぜ、このような状況になるのかというと、

「社員が現金を抜き取った」という仕訳が計上されていないのに、実際には現金の引き出しがある状態になるため、このような状況になります。

例えば、手持ち現金が10万円だったとして、帳簿上の現金残が100万円だったとしたら、90万円は横領があった可能性が有るということです。

代表者貸付金の増加、代表者借入金の減少

次に、代表者貸付金の増加、代表者借入金の減少についてですが、こちらの勘定科目については、社長個人に対する会社からの貸付金、あるいは会社が社長からお金を借りているときに計上される科目になります。

税理士事務所が顧問している会社でしたら、例えば、帳簿の現金残高が100万円だったとして、実際の現金残が10万円だった場合、社長に「90万円、社長からの借入金を返したようにしていいですか?」という質問があることがあります。

本当に、社長さんが現金を抜いているのであれば問題ありませんが、あまりにも現実と乖離している場合、本当は社長に返しているのではなくて、社員による横領があったため現金のズレがあるのかもしれません。

粗利率

単純に現金だけ抜いているだけなら分かりやすいですが、経理の知識のある方だと現金を抜くとばれるのが分かるでしょうから、売上代金を全部か一部そのままポケットマネーに入れる場合があります。

この場合、現金残高に異常はないためばれにくいですが、帳簿上、粗利率がおかしくなってきます。

原価は計上されているけれども、売上が上がっていないわけですから、粗利率がおかしくなってきます。

過去の試算表と、社長の肌感覚での粗利率と、帳簿上の粗利率に乖離がある場合には気を付けるようにしましょう

余談

引地税理士
引地税理士

ざっと、注意すべきポイントを上げましたが、

このほかにも、

・買った覚えのない商品を購入している

・日計表の売上が、来客数と比較しておかしい

などといった場合には社員による横領の疑いがあるので

気を付けるようにしましょう。

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