株式上場するまでの流れを簡単に解説

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こんにちは、鹿児島の税理士の引地です。

今回株式上場の一連の流れが書かれた本を読みまして、その内容を簡単にお伝えしていければと思いますが、

そもそも、なぜ株式上場するのかって言われたら、一般的には、創業者が保有している株式を上場後に譲渡することによって、譲渡利益を得ることや、上場したことによる資金調達がメリットだと言われています。

逆にデメリットとしては、会社の利害関係者(投資家など)が増えるので意思決定のスピードが遅れるとも言われています。

そういった、上場にまつわるメリット・デメリットを考慮したうえで、上場まで流れを参考文献から分かりやすく解説しますね!(参考文献:IPOをやさしく解説!上場準備ガイドブック【著者:新日本有限責任監査法人】

上場とは

未上場会社では、株式は同族など特定の限られた者に保有され、譲渡制限されていることが通常です。IPO(株式の上場)とは、この自社の株式を、不特定多数の一般投資家に開放して、株式市場において自由に売買ができるようにすることをいいます。つまり、証券取引所が開設する株式市場で株式を自由に売買できるようにすることです。

IPOをやさしく解説!上場準備ガイドブックP3

会社を設立する際に、会社の定款を作ると思いますが、基本的には「譲渡制限株式である旨」が書かれていると思いますので、上場するにあたっては、定款の変更が必要になるそうです。

公募、売出しとは

IPOの際には、会社の株式を一般投資家に譲渡することになりますが、その方法には2つの方法があります。それが「公募」と「売出し」です。

IPOをやさしく解説!上場準備ガイドブックP5

「公募」とは不特定多数の者に、新たに発行する株式の取得の申し込みを勧誘することです。

「売出し」とは、すでに発行している株式の取得の申し込みを勧誘することです。

このように、株式を渡して、出資してもらう方法にも2種類あるということですね。

この「公募」「売出し」の際の注意点は、安定株主(経営者、業務提携にある会社、メインバンクなど)の支配比率が低下することにより、買収されるリスクが高まるということです。

公募、売出し時株価はいくらになるか?

簡便的な株価の算出方法がご紹介されていました。

一株当たり当期純利益×類似業種のPER×IPOディスカウント=上場時の株価

PERは、利益がすべて配当に充てられた場合、その投資は何年で回収できるかを表わす指標です。将来の成長性が期待できる業種は高くなる指標になります。

例えば、2011年4月~2015年3月までに上場した企業の平均のPERの表があるのですが、情報通信業は96.5倍となっております。

ということは、情報通信業だと、本来的には、96年ほどで回収できるという数値が出ているわけですが、実際は、もっと企業が伸びていくだろうと特に期待されている業種であると言えます。

IPOディスカウントとは、様々なリスクを勘案して、ディスカウントされる割合を指します。

本書でサンプル例が記載されていました。

例えば、上場申請期の当期純利益が5億円、類似業種のPERが15倍、IPOディスカウントを2割と仮定した場合、上場時の時価総額は「5億×15倍×0,8=60億円」といった金額になるわけです。これにより算出される株価が公募・売出しを行う際の価格の目安となってきます。

IPOをやさしく解説!上場準備ガイドブックP13
引地税理士
引地税理士

便利な計算式があるものですね

株式上場をするまでの簡単なスケジュール

会社の規模・業務管理体制により左右されますが、IPOスケジュールのスタートは、IPOを行う期(一般的に「申請期」といいます)の2~3年前となります。申請期の前2期間を一般的に「直前々期」「直前期」といい、証券取引所の規則により原則として当該2期間の公認会計士等による監査証明が上場申請の際に必要となります。

IPOをやさしく解説!上場準備ガイドブックP29

なるほど、上場前から会計士さんとは付き合う必要があるんですね。初めて知りました。直前期においては、実際には仕組みづくりはすんでいて、実際に運用されている必要があるようです。

全体的なスケジュールについては、

株式上場に至るまでのスケジュールは大きく分けて3つの時期に区切られます。一般的には直前々期より前が上場を目指すという意思決定の時期、直前々期・直前期が上場準備の時期、申請期が上場の時期となります。上場を目指す意思決定の時期では主幹事証券会社・監査法人といった関係者の選定に始まり、IPOへの問題点を把握し包括的なスケジュールを策定します。上場準備の時期では把握した問題点を改善します。申請期では取引所の審査をクリアし、上場会社となります。

IPOをやさしく解説!上場準備ガイドブックP29

IPO全般に関する助言指導を実施する会社を主幹事証券会社というそうです。2020年のトップの会社は野村證券みたいですね。

上場時までに定款変更をしなければならない項目

下記の事項は上場時までに変更しておかないといけないようです。

  1. 株式譲渡制限の廃止⇒自由に譲渡できるようにするためです。
  2. 株式名簿管理人の設置⇒一般に売り出すわけですから、管理する会社が必要です。
  3. 官報以外への公告の方法の変更⇒公告の方法について、全国版日刊紙あるいは電子公告の方法に変更が必要なようです。
  4. 会計監査人、監査役会(または監査等委員会)の設置⇒上場するには、会計士の監査が必要なため
  5. 単元株制度の採用⇒売買株式数の最低数である単元株を100株にすることが必要です。単元株とは1株しか持っていない人を株主とすると事務コストがあがるため、ある一定数の株式を保有している人を株主として権利を与える制度になります。

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