印税収入のある人は平均課税で節税

税務・会計

皆さんこんにちは、鹿児島の税理士の引地です。

今回は、小説家、漫画家、音楽家などように印税収入のある人については、「平均課税」という所得税の制度があり、所得税を節税することが可能です。今回は詳しい計算の仕方については説明を省きますが、該当する方については、一度税理士にお問い合わせいただければと思います。

YouTubeの方でも解説していますが、今回は記事で確認されたい方に向けて、平均課税という制度について解説していきますので、該当する方はチェックしてくださいね!

平均課税とは

平均課税とは、小説家、漫画家、音楽家など印税収入を得る方やプロスポーツ選手が始めて貰う契約金のように、印税収入のように毎年の変動が激しい所得がある(変動所得)方や、プロスポーツ選手の契約金などのように一時に多額の収入を得る(臨時所得)方について、そういった非経常的な所得が一時に生じた年については税負担を抑えよう、という趣旨の制度になります。

そういった趣旨のもと、この制度がありますので、平均課税が使える要件に当てはまっているなら、平均課税で所得税を計算した方が節税になります。

なお、本業で印税収入を得ている方(事業所得)に限らず、副業で印税収入を得ている方(雑所得)についても対象になります。

適用要件

※今回はプロスポーツ選手などの臨時所得に該当する方は除いて、印税収入を得ている方(変動所得)を前提にして記事を書いていきます。

適用要件ですが、

  • その年分の変動所得の金額が黒字であり、過去2年合算した変動所得の平均を超えていること
  • その年分の変動所得の金額が、総所得金額(単純に言うと今年の所得)の20%以上であること

上記2点に該当する場合には変動所得の対象になります。

適用要件一つ目を例を挙げて言うと、例えば今年の印税収入(厳密にいうと収入から経費を引いた所得をもとに計算していくので印税「所得」ですが、印税収入という書き方で統一します。)が300万円で、前年100万、前々年100万だったとしたら、前年、前々年を合計した金額200万円の÷2なので100万円になりますので、300万>100万ということで、今年一時に印税収入が上がっているので、適用要件を満たすということになります。

具体的にどれだけ安くなるの?

それでは、具体例をあげてどれだけ節税ができるのか見ていきましょう。

前提として、印税収入に係る所得が前々年100万、前年100万、今年1000万円、かつ他に印税収入以外は所得はなかったものとして考えていきます。

通常の計算ですと、

〔1000万円-48万円(基礎控除)〕×33%-1,536,000円=1,605,000円(所得税額)

となります。基礎控除はだれにでもある控除額と思っていただければOKです。

次に平均課税の場合です。

①まず、平均課税になるかの判定ですが、

  • 1000万>(100万+100万)÷2=100万
  • 1000万>1000万×20%=200万

∴今年度の印税収入が一時に増加しており、所得のうちに印税収入が占める割合が一定以上含まれているため、平均課税の適用が可能

となります。

②それでは。実際に計算に移っていきます。

  1. (1000万-48万(基礎控除))×1/5=1,904,000円 ←いったん5分の1するのはそういうものだと思っておいてください。
  2. 1,904,000×5%(所得税率)=95,200円 ←つまり、所得の5分の1に対する所得税額
  3. (1000万-48万)-1,904,000=7,616,000円 ←5分の4の所得の金額を求めます。
  4. 7,616,000×(注)0.05=380,800円 (注)95,200÷1,904,000=0.05 ←(注)のところで、5分の1に対する税額を5分の1の所得で割っているので、つまり、所得の5分の1で適用された税率を乗じています。
  5. 95,200円+380,800円=476,000円(所得税額) ←5分の1の所得税額と5分の4の所得税額を合算して合計の所得税を求めます。

という計算結果となります。

ですので、通常の計算では1,605,000円、平均課税の計算では476,000円なので、平均課税の方が、1,129,600円節税となります。

なぜこんな節税効果があるのかというと、

通常の所得税の計算では、所得のランクが上がるごとに適用される税率が、5%、10%、20%…と上昇していきます。平均課税の計算では、5分の1をした所得のランクの税率が適用されるため、計算構造上平均課税を適用した方が明らかに有利になります。

上記の計算では、所得の金額を5分の1にしたときに適用された税率が5%で、その残りの5分の4の所得の金額にもにも0.05、つまり5%の税率を乗じています。つまり5分の4の数値にも5分の1の時の税率を乗じているというわけです。

印税収入以外にも所得が合ったりする場合は、今回のような単純な説明にはならないのですが、平均課税を使えるのであれば、平均課税を使った方がお得なので、覚えておいてくださいね!

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